商店街の延長をデザインする。
祖師ヶ谷大蔵の駅前商店街を歩くこと15分、そろそろ店が途切れ出した場所に位置するロースタリーカフェ。
そこは何ヶ月も放置されたままの物件で暗くどんよりとして、近年衰退していく地元商店街の行先を見るようだった。
しかしそれは逆説的に言えば、商店街の一番奥に位置したこの場所を復活させることがその商店街の未来を明るく照らすことに繋がると考えられた。
建物内部を商店街の延長として考えることで、外部と連続した街と繋がる空間を作り出す。
キッチンは商店街沿いに出されたテーブルのように。道沿いに据え付けられたベンチ。無造作に置かれた家具。
杉板張りの壁が建物奥まで連続して連なり、木梁のようなライン照明が木陰から燦々と降り注ぐ太陽のように店内を明るく照らす。
素っ気ない倉庫のような建築に外部環境を想起させるレイアウトやマテリアルを挿入することで、
建築の中に外部のような環境をつくり出し、商店街の延長となることで街の愛される一部となるのである。