六本木に計画したカナダで人気を集める日本食レストラン。
日本人にとって寿司は完全なジャパンメイドな食文化であり、カリフォルニアロールに代表される海外の寿司は異端と見なされる。
海外のブランドを日本に持ってくる際によくあるただ『海外風』な印象のインテリアを設計するだけでは、
寿司屋としての文化を理解していないとアピールすることと同列であると考えた。
日本発祥の『寿司』が海外で発展し日本に逆輸入されたブランドストーリーをインテリアで正しく表現すること。
それが日本のマーケットに受け入れられること。つまりは売れることに繋がると思います。
寿司は食材に最小限の工夫を加えることで、素材の旨味を最大限引き出す食文化。
インテリアもまたマテリアルの特徴を最大限に引き出し、それだけで空間が成り立つことを模索した。
寿司屋はカウンター商売であることから最大限カウンター席を多くとり、カウンター内は天井を1.5mほど下げ日本人の身体感覚に合った板場とした。
それにより現れた下がり天井のボリュームには、日本で古来より寺社仏閣にも使用されている銅板を用い、
銅板独特のリフレクションでライティングを増幅させることで、六本木ならではの艶感を空間に与えた。
それは素材の持つ特徴を最大限引き出し限りなくシンプルな所作によって表現する寿司屋という店を自分なりに再解釈した空間となっている。